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ネバリスター/根張星
ヤマノイモ科、ヤマノイモ属

Nebaristar
学名:Dioscorea polystachya
 

2025年晩秋、有名ブランドの十勝川西長いもの収穫が豊作になったことが伝えられた。これは土壌改良の成功にもよるが、夏場の猛暑で長いもが地中深くの水分を求め、長く太く育ったことが大きな要因とされている。

寒冷地の長いもは、旬が2回ある。晩秋が1回目の旬で、これを「秋掘り」といい、その時期に掘り出さずにそのまま越冬させて、早春に掘り出すものもある。これが2回目の旬の「春掘り」だ。長いもは地温が下がると休眠して追熟する性質がある。そのため、冬でも地温があまり下がらない温暖な地域だと休眠できない。逆に、土が凍ってしまうほど寒い地域だといもが凍ってしまうので、土中に置いておくことができない。その点、十勝地方は長いもが休眠できるちょうど良い環境なので、晩秋に掘り出さずに越冬させることができる。春に収穫された長いもと秋に収穫された長いもでは味に大きな違いがある。春掘りものは、1〜2℃の低温の土中で休眠状態になっており、休眠により追熟が進み、デンプンが糖質へと変化する。そのため、旨みや甘みなどの成分が凝縮され濃厚な味となり、ねばりも強めになる。まさに北海道は豊かな大地と昼夜の寒暖差が山いも類の栽培にとても適しているといえる。

現在、注目を一身に集める「幻の長いも」がある。それは「ネバリスター」という品種だ。ネバリスターは、長いもと大和いもを掛け合わせて生まれた新品種で、一般的な長いもより甘みが強いことが最大の特徴。1997年に開発され、品種登録に至った。粘りが非常に強く、“とろろ”にしたときのネバネバ感は長いもの2倍以上ともいわれ、きめの細かいなめらかさとクセのない味わいで人気だ。北海道でネバリスターの生産をけん引するのは、十勝川西長いもの主産地・帯広市の隣町にある池田町。独自ブランドの「根張星」が育成され、地域の特産品として取り組みが進められる。

ネバリスターの収穫は冬〜早春、特に3月はピークに当たる。寒さの中でゆっくりと成長し、甘みや粘りが増してより美味しくなる。まだ比較的新しい品種であるため、従来の長いもに比べると生産量は限定的だ。道内では十勝地方を中心に栽培が拡大しているものの、流通量は決して多くはなく、そのことからも「幻の長いも」と称される。市場では長いもと比べて高めの価格帯で取引され、近年は台湾、米国、シンガポールなど海外で健康食品として認知され、健康志向の強い富裕層を中心に人気が高まり、積極的な輸出を行っている。贈答用としても人気があり、化粧箱入りのネバリスターが出まわるほど。また、ふるさと納税返礼品として提供されており、地域ブランド・特産品としての価値を高めている。

ネバリスターは主に炭水化物としてエネルギーの源となる成分が豊富。食物繊維のレジスタントスターチは腸内環境の改善・血糖値の急上昇を穏やかにする効果が期待される。また、ビタミンCやビタミンB群を多く含むため、代謝や免疫サポートに役立つ。カリウムなどのミネラルは体内の塩分調整や神経・筋肉機能を上げてくれる。100g あたり87kcalと、いも類の中ではカロリーも糖質も低め。

基本的な栄養成分は長いもと共通しているが、特に多くの消化酵素が含まれていることでいま注目が集まっている。ネバリスター特有の成分であるアミラーゼは消化を助け、胸焼けや胃もたれ、二日酔いなどを防いでくれる。また、たんぱく質消化性が高く、フェノール化合物などの抗酸化成分の生体利用性能が高いという研究結果がある。これは、生食した場合でも栄養価が活かされやすいことを示している。

粘りや甘みが強く、加熱するとホクホクとした食感に変化する。これはネバリスターならではのもの。特に春掘りのネバリスターはその粘りと甘みを活かした調理法が多彩で、熟成された美味しさやコクを味わえる食べ方がオススメとなる。まずは、すりおろしてダシを混ぜて味わう“とろろ”が代表的な料理。ご飯にかける定番の楽しみ方のほか、山かけとしてマグロと一緒に味わったり、そば、うどんとの食感のバランスが非常に良い。また、焼いても美味しく、ステーキするとホクホクした食感が際立ち、バターしょう油の香ばしさがたまらない。天ぷらにすると粘りが衣と絡み合い、独特の風味が楽しめる。煮物にしても相性が良く、根菜の自然豊かな旨みが口の中に広がる。産地ではスープや味噌汁の具としても使用され、とろみのある味噌汁ができ上がる。すりおろしたネバリスターをスプーンですくって鍋に落とし入れる「落とし汁」は郷土料理。お好み焼きやとろろ焼きは強烈な粘りを存分に生地に活かすことができる。そのほか、細かく刻んで酢の物にしたり、野菜と一緒にサラダにしたり、加熱して肉料理の添えものにするなど幅広く活用される。
 

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