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子持ちシャコ/子持ち蝦蛄
トゲエビ亜綱口脚目シャコ科シャコ属

Mantis shrimp
学名/Oratosquilla oratoria
 

石狩湾沿岸の春シャコ漁が例年、4月下旬に解禁になる。待ちわびた子持ちシャコの美味しい季節の到来だ。春シャコの産卵前のメスには背側の体の中に縦に長く卵巣が成熟する。これを「カツブシ」と呼び、非常に重宝し、市場では高値で流通する。コリコリと程よい歯ごたえがありカラスミにも似た食感も兼ね備え、この時期にしか味わえない美味しさ。卵を取り囲む身の部分もとても厚く、独特の旨みと豊潤な甘みで人気だ。

シャコはエビ類に似るがまったくの別種で、甲殻類シャコ科の節足動物。エビよりはムカデなどの節足動物が近縁である。カマキリの鎌のような鋭い足を持っていることと、前方に飛び出した複眼を持つことが最大の特徴。体長は15〜20cm程度まで成長する。脚力が異常に強いので、気安く触ると大怪我をすることがありとても危険な生物である。眼が非常に優れており、12の光受容細胞も持つ(人間がもつ光受容細胞は3つ)。人間には識別できない色を見ている可能性が高い。身体は扁平で殻は硬く、目立った斑文などはない。第二歩脚が巨大でのばすと鎌状で鋭いトゲがある。胸部よりも腹部のほうが大きく発達。腹側には腹肢が並び、その基部にエラがあるため規則的に動かして呼吸を行っている。腹肢を活発に動かして海中を泳ぐこともある。

名前の由来は、シャコを茹でると殻の色が淡い灰褐色から紫褐色に変わり、それがシャクナゲの花の色に似ていることから、江戸時代には「シャクナゲ」と呼ばれていた。それが変化して現在の「シャコ」となったようだ。「シャコエビ」、「ガサエビ」、「シャッパ」などの地方名を持ち、寿司用語では「車庫」が転じて「ガレージ」という符牒(ふちょう)がある。

全国各地の内湾や内海の砂泥底に生息。肉食性で、強大な捕脚を用いて他の甲殻類や魚類、イソメ、ゴカイなどを捕食する。この捕脚による攻撃は非常に強力なもので、カニの甲羅や貝殻を叩き割るほか、天敵からの防御や威嚇にも用いられる。シャコの仲間はハサミの形態で「刺しシャコ」と「砕きシャコ」に分けられる。北海道のシャコはカマキリ状の「刺しシャコ」。一方で、ハサミの付根が固いコブのようになり、国内では相模湾以南の暖海に生息する「砕きシャコ」。個性的な姿で知られるモンハナシャコの得意技はハンマーのような形をした前足から繰り出される強烈なパンチ。動物界最強のパンチ力で、あまりの速さに海水の圧力が下がり気泡が起きるキャビテーション現象が発生するほど。

北海道で唯一、シャコの刺し網漁が行われるのが日本海側の小樽市や石狩市が面する石狩湾沿岸。刺し網漁とは、魚の通り道に網を仕掛け、網目に刺させたり、絡ませたりして魚を獲る漁法で、漁期は年2回。産卵前の卵が熟した子持ちを狙う4〜6月と、脱皮後の身入りのいいシャコを狙う10〜12月があり、秋の漁は10月の解禁後、わずかな期間で操業する。透明度が高い石狩湾のシャコ漁は、時化で海底が濁ったときにエサを求めて巣穴から出るという習性を利用して行われ、荒天の前に投網し、天候が穏やかになってから水揚げする方法のため、一般的な漁とは逆に時化の日が多いほど操業日が増える。この石狩湾で水揚げされるシャコは他の地域に比べて別格の大きさで、地域を挙げてブランド化するための取り組みが行われている。

シャコは、エビやカニに比べると市場価値は見劣りするが栄養価は断然上。たんぱく質、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが豊富で、ビタミンA・B1・B2・B12などはエビやカニよりも多い。高血圧予防に効果があるカリウムやコレステロールの増加を抑えるタウリン、それに貧血に効果のあるビタミンB12を特に多く含んでおり、血液を正常に保つ働きがある。

シャコを美味しく食べるなら浜茹でが1番。石狩湾新港や厚田港の朝市では獲れたての活きたシャコを茹で上げ、ハサミで殻をすばやくキレイに剥いていく作業をみることができる。寿司ネタとしてもお馴染みで、醤油以外にツメ(甘辛いタレ)で食べるのも美味。また、獲れたてのごく新鮮なうちに刺身として生食することもできる。パスタや天ぷらのほか、焼き物、揚げ物、蒸し物、炒め物、酢の物などさまざまな料理に適している。シャコツメと呼ばれる脚の部分の身は1尾から少量しか取れない珍味。旨みが凝縮された味わいで酒肴として最適。
 

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