
寒ヒラメ/寒平目
カレイ目ヒラメ属ヒラメ科
flounder学名:Paralichthys olivaceus
1年を通じて漁獲されるヒラメは、雪が降る寒い季節になると産卵の準備を整えるために深場から浅瀬へ接岸をはじめる。この時期は四季を通して最も運動量が多く、非常に活動的。冬の冷たい海の中で肉厚となり、豊富なエサを食べて脂質の量が最大になる。特に1月下旬から2月の寒の時期に獲れるヒラメは「寒平目」といわれ、程良い脂がのり、きめ細かい身で高級魚とされている。
ヒラメは長楕円形の体躯で頭は大きく、オスは1メートル前後、メスは60センチほどで、オスのほうが大きくなる。背ビレ、尻ビレがとても大きく、身体全体を縁取っている。「左ヒラメに右カレイ」といわれ、両目は体の左側にあるが、産卵孵化した仔魚の目は普通の魚と同じように両側についている。それが成長にともない右目が上に移動、頭の眼の上が窪み、そこを右目が移動して正中線上を超える。そして体長13〜14センチで完全に右目は左目の付近へと移動してしまう。表が左、裏側が右側となり、左側だけを表にして泳いでいる。また、口と歯が大きいのが特徴で、ヒラメのことを英語では「Large-tooth flounders」ともいう。大きな口で魚などを襲い食べる肉食魚だ。鱗は細かく体表に並んでいて取りにくい。皮は厚みがあって丈夫。骨はやや硬いが小骨などはない。
白身魚の代表格で、身はくせがなく美味。透明感のある身で、熱を通しても硬く締まらない。特に「縁側(エンガワ)」と呼ばれる背ビレ、尻ビレに沿った身の部分は脂のりが良くて美味しく、1尾からわずかしか取れない希少さも人気の理由だ。胃袋、肝、真子、白子も美味。ヒラメの身は稀にゼリー状になり少し溶け出していることがある。これは体内に寄生した胞子虫が酵素の一種のプロテアーゼを多量に分泌して筋肉を消化してしまうことによるもの。このゼリー状になった身は食べても無害だがまずい。
語源は、「ひら」は平たい、「め」は魚の接尾語で、体が平たい魚という意味。「ヒラメ」という名は、もともと古い言葉で主に東京日本橋にあった魚河岸で使われていた。「3月平目は猫またぎ」ということわざがある。魚の好きな猫でも食べないくらい味が落ちるという意味で、関西では「3月平目はもらっても食うな」といわれる。
ヒラメ属は全世界で19種類いることが確認されているが、ヒラメはヒラメ属魚類の中でアジア側に分布する唯一の魚種。北海道では日本海と津軽海峡、オホーツク海を中心に分布している。産卵期は6〜8月で産卵期間は2〜4ヵ月に及び、主に水深50メートルよりも浅い所に卵を産む。成長適水温が15〜25度で、成長できる水温範囲が限られるため、北海道では7〜12月に急激に成長する。漁法は延縄、刺し網、底曳き網などで行われる。同じ白身の魚として比較されることが多いヒラメ類・カレイ類のなかでは最も高値で取引されている。また、カレイよりも成長が早いこと、海底で静止していることが多いためにさほど酸素を必要とせず海水をあまり汚さないことから、養殖が盛んに行われている。釣りの対象としても人気があり、道内で良く釣れるのは、内浦湾、岩内港、石狩湾、室蘭港、積丹半島沖など。
ヒラメは、栄養成分がとても豊かで旨みの中心となるイノシン酸が多いのが特徴。淡白でありながらも濃厚な味わい。高たんぱく、低脂肪で消化吸収が良いのと、アミノ酸バランスが優れ、ダイエット中の人にはオススメ。また、ミネラルビタミン類も豊富でEPAとDHAも多く含んでいる。
食べ方は主に刺身。活魚を活け造りにするのが最高だ。昆布締めも人気で、鮮度の良いヒラメを昆布で締めて刺身にすると、適度に身が締まり、旨みが一層に増す。薬味野菜をたっぷりのせてカルパッチョにするのも良い。煮つけにするのも一般的だ。切り身を煮付けにするも旨いが、特に兜には身がたっぷりあり、頬などに独特の食感があるので兜煮はとても美味しく、真子、白子も一緒に煮付けにしたいところ。ヒラメの潮汁は豊かなダシが出て深みのある味わい。後味があっさりしており、骨などについた身も極めて美味。ほかにも塩焼き、フライ、唐揚げ、ムニエルなどがあり、ヒラメは世界的に人気がある魚だ。
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