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サウナ

新春サウナ企画 「ススキノで、ととのう。」
ととのえ親方×まほ スペシャル対談

 
まほ(大西真帆) みなさんこんにちは!1・2・サウナー!サウナ大好き、大西真帆です。今回は新春特別企画として、サウナ界のレジェンド「ととのえ親方」をお迎えしました。こうして対談できること自体、正直とてもうれしいです。私がサウナを好きになり、発信するようになった背景には、親方が創ってきたサウナカルチャーの影響が確実にあるからです。まずは、親方とサウナとの出会いからお聞きします。
親方(ととのえ親方) サウナとの出会いはね、幼いころ札幌には銭湯がたくさんあってね。そのなかでも「ACB(あしべ)のお風呂」で親しまれていた「あしべ」に、親に連れられて通っていたんだ。いまでいうスーパー銭湯の先駆けみたいな存在で、そこで初めて「サウナって気持ちいい」と感じた記憶が、いまでも鮮明に残っている。
まほ 「あしべ」にはわたしも行ったことあります。ホームサウナのようないつでも気軽に行ける雰囲気なのに湯船の種類も多くて、サウナの温度も高めでわたし好み。すごくバランスのいい施設ですよね。親方からみた「あしべ」の魅力はどこですか? 親方 「あしべ」のサウナって、じつはめちゃくちゃいい設計なの。サウナストーブと座面の高さの配置が札幌市内ではトップクラスに優れている。段数が少ないサウナだと、本当に気持ちいい高さに座れないことが多い。でも「あしべ」は天井高と段の配置が理想的。幼少期に「いいサウナ」を体験できたことが、その後に大きく影響してる。 まほ そんなところにまで目をむけるとは驚きです! 幼いころの経験って大切ですよね、わたしも毎週日曜日に家族でスーパー銭湯などの入浴施設に行くという恒例行事がありました。最初はさすがに“えっ熱い”と感じ、すぐに出たり入ったりしていましたが、そのうちに慣れもあってだんだん心地よくなって、頻繁にサウナに行くようになっていきました。 親方 あと、ガトーキングダム(当時の札幌テルメ)に友人4〜5人と行った思い出があるんだよね。学生時代に盲腸の手術に失敗してね、化膿しないようお腹のなかにしばらくの間、管を入れてたんだ。それでもどうしても友人たちとサウナに行きたくて、母親にお腹をサランラップでぐるぐる巻きにしてもらった(笑)。「あの時、お前サランラップ巻いてサウナ入ったよな」、「あのころからサウナ好きだったよな」、といまでもその友人たちに会うといわれるんだ(笑)。 まほ サランラップでサウナ!?その話、衝撃です。初めて聞きました(笑)、親方はそのころから、もうすでに筋金入りのサウナーだったんですね。では、サウナをプロデュースするというきっかけになったのは?

ネイティブアメリカンの儀式

親方 自分は若いころビジネスを起こし、なんとなく自由に使えるお金があったんだよね。そのお金で世界中いろいろなところをみてみたいと思ったわけ。20年くらい前かな、北米のインディアンのサウナを体験したのよ。それは儀式のサウナといわれるもので、当時体験した日本人はいなかったはず。 まほ おもしろそうですね、なにかただならぬ予感がします。親方は世界のサウナを知りつくしているってイメージがありますが、儀式のサウナとは、どのようなものですか? 親方 それは、ビジョンクエストというインディアンに伝わる修行で、いきなり山奥に連れていかれ、置いてけぼりされる。許された持ち物はダウンジャケットと寝袋1つだけ。ほかになにも持ってはいけなくて、もちろん携帯電話もダメ、社会から完全にシャットアウトになる。食料も水もない状態で過ごすわけ。屋根も壁もないなか、地べたでずっと寝起きするだけ。5日後にインディアンが迎えにくるのをじっと待ち続ける。 まほ えー、そんなことやったんですか!?断食断水ですよね、水も飲めない、食べ物もないとか、考えられません。しかも見知らぬ世界で5日間も野宿するとか信じられません。よくぞ生還されました。 親方 その5日間の修行が終わると「やっと水が飲める!」となるわけだけど、そうはならない。すぐに「スウェット・ロッジ」というインディアンのサウナに連れていかれる。もう6〜7キロは痩せているかな、身体は水分のないカラカラな状態。サウナに入ったら、まずロウリュをする。そうしたら一気に蒸気が上がって、それを皮膚が一斉に吸収するんだ。体中の汗腺が開き、全身にエネルギーがみなぎるような感じになる。まるで植物にでもなったみたいな感覚。人生観が変わったね。
 

サウナプロデュースのはじまり

親方 世界中のサウナを体験していると、「サウナについて教えてほしい」と声をかけられるようになった。するとある日突然、洞爺湖万世閣グループの社長から連絡がきて、「サウナのことをよく知っていると聞いた、ぜひあなたにうちのサウナをみてもらいたい」という依頼があった。それが最初のプロデュース。 まほ 北海道の温泉リゾート地ですね、美しい自然に恵まれた洞爺湖畔にある絶景が見どころです。そこからお声がけされたところから、親方のプロデュース業がはじまったわけですか、それはいつごろですか? 親方 約8年前、2017年ごろかな。さまざまなサウナに行ってると、こういうところがいいよね、ああしたらいいな、とか漠然とした思考はあった。でも最初から仕事にしようと思っていたわけじゃなくて、経験の積み重ねが自然と形になった感じだよね。

サウナのイメージを一変させた「TTNE」

まほ 親方が立ち上げたサウナでイノベーションを起こし続けるクリエイティブ集団の「TTNE」は、サウナー専門ブランドとして大きな存在ですよね。サウナに対する従来のイメージを変えたといっても過言ではないと思います。 親方 TTNE はじつはもうちょっとだけ後の話。当時、サウナって「おじさんの趣味」、「ちょっとダサい」イメージが強かった。そこを変えていけたらおもしろいなって、だから、ファッションやビジュアルと掛け合わせて、サウナをリブランディングしたかったんだ。サウナのイメージづくりからはじめてみようと思った。 まほ 確かにわたしが小さいころに行っていた時は、ちょっと年配の方が多かったし、若い人はあまりみかけませんでした。若い女性がサウナを楽しむようになるのって、最近になってからだなって思います。好感がもてる明るいイメージが一気に広がりましたよね。 親方 とにかく女性がサウナハットやポンチョを「カワイイ」と思ってくれる世界感を創りたかった。だからモデルさんに手伝ってもらい、それをビジュアルにおさめて、大手出版社が取り上げてくれた。あの手この手でブランド価値を高めていったという感じ。サーファーにはサーファーの、スケーターにはスケーターのブランドがある。だからサウナーにも、専門のブランドがあったらいいと思った。ただ、スケートやスノーボードは相当うまくないとブランドは成立しない(笑)。プロなら別だけどね。 まほ わかります。サウナってうまい下手ないですもんね。じつは親方がTTNE で成功してるのをみて、今年の10月にわたしのサウナブランドを立ち上げました。大好きっていう誰にも負けない情熱だけはあるので可能性は広がると思っています。今日着てくればよかったかな(笑)。
 

サウナの本質を追求した「goodsauna & spa SAPPORO」

まほ 親方はこれまで数多くのサウナにたずさわるお仕事をされていらっしゃいますが、辛かったこと、苦労したことなどはありますか? 親方 はじめたばかりのころかな、口八丁手八丁みたいに自分でもわけのわかんないこといってた(笑)。完全に知識不足で、わからないことが辛かった。だからすごく勉強しないといけないと思ったよ。でもいざ勉強しようとしても文献がない。サウナをプロデュースするということは建築・設計・設備など専門的な分野まで知りえないといけないから。 まほ 難しいですよね。いろいろなところに目を配って、細かい部分にまで気を遣わないといけなくて。 親方 そうなんだよ。本当にあちこちに目を向けなきゃいけない。たとえば「ここはどれくらいの高さがいいのか」とか、そういう細部まで全部考える必要がある。どんな循環機器があって、どのようにろ過装置で還流させるとか。だからいろんな雑誌をみて研究した。もう1980年代の文献とかも手当り次第に買ってね(笑)。でも結局これ使えないとなるんだけど、とにかく資料だけはめちゃくちゃある。特に海外の書籍が多くて、英語がわかんないから、1ページずつ写メして、翻訳してみたいな(笑)。 まほ 普通、なかなかできることじゃないですよ。本当にすごいことだと思います。ところで、ココノススキノに待望のサウナができましたね。まさにいまその場所にいます。親方がプロデュースしたことで話題になった「goodsauna & spa SAPPORO」、どんな点にこだわったのでしょうか。 親方 それはね、水車のサウナストーブを取り入れたこと、そして最新の空間設計になるのかな。段差をつくったり、高さの違いを意識したり。そういう部分にはこだわったね。それと最近のサウナって、湿度が高すぎるところが多いでしょ。本来サウナって、蒸気が上からふわっと降りてきて、体を包み込む感じが“魂”なんだけど、そこがちょっと違ってきてるなと思って。昔から「湿度が大事」っていい続けてきたことでもあるんだけど、その結果、スチームサウナみたいになっちゃった施設も多い。でもね、じつは「何パーセントが正解」って話じゃないんだよ。 まほ 確かに、湿度がかなり強いサウナも増えましたよね。どういう状態が理想的なんですか? 親方 まずドライな状態があることが大切。温まったサウナ室があって、そこにロウリュをする。石にかかった水が蒸気になって、わーっと広がって、そして消えていく。その一連の流れが重要なんだ。ずっと湿度が高すぎてもダメだし、低すぎてもダメ。その“ムラ”が1番気持ちいい。 まほ 蒸気が上から降ってきて、足首くらいまで伝わって、すーっと消えていく感じですよね。あれ、たまらないです。 親方 そうそう、その「落ちてくる感じ」。それがサウナの魂なんだよ。昔は全国でロウリュができる施設なんて、10軒くらいしかなかった。それを変えたくていろいろやってきたけど、今度は湿度をだしすぎるサウナが増えてしまった。本当はドライと湿度が行き来する状態が理想で、水車サウナはそれを計算してつくりやすいんだ。 まほ 水車サウナは男性専用ですよね。撮影で入らせてもらいましたけど、実際にじっくり体験してみたいなと思いました。これから男女入れ替えの可能性もあると噂を耳にして、かなり楽しみにしています。女性側のサウナも、オートロウリュの香りがすごくよくて、ハーブの使い方も素敵でした。今まで行った施設ではあまりなかったこだわりで、本当に気に入りました。その他に、札幌市内、ススキノにもたくさんあると思いますが、親方がよく行くサウナ、お気に入りは? 親方 「ニコーリフレ」は大好き!リフレがなかったら、「ととのえ親方」っていう名前になってないし(笑)。「スゴイサウナ」も、湿度の考え方が徹底されていて、溶岩石が組み込まれたマグマ式の加熱を採用しているのがいいよね。それから、ジャスマックホテルにある「湯香郷」も魅力的で、あそこは外気浴も楽しめるのがいいところ。あと「センチュリオンサウナ」かな。なんかもう、あそこまで振り切っているとおもしろいよね。冷たい風とめちゃくちゃ激熱のサウナ、温度差がものすごいから。 まほ 今後のサウナはどうなっていくと考えますか?私はもっと女性に好きになってほしいなという思いがあって、サウナのよさを常日ごろから発信しています。 親方 サウナは、もっと盛り上がっていくと思うな。どんどん一般家庭に普及しているからね。新築のマンションや新しく住宅を建てるときはサウナがマストになっていて、それがあると売れ行きが違ってくるみたい。あとおじさんの趣味はゴルフだからね、もちろん自分もそうなんだけど(笑)、結局のところお風呂やサウナは外せない。とにかく歳を重ねてもサウナはずっと楽しめるもんね。 まほ わたしはこれまで「これが趣味です」っていえるものがなかなかなくて。でもサウナは、気づいたら自然とのめり込んでいました。サウナって、これからもっと良くなるし、もっと広がっていく気がします。最後に2026年の抱負を聞かせてください。 親方 いまね、ちょうど海外に進出する準備をしてるんだ。やりたいのは、日本の銭湯文化をそのまま持っていくこと。銭湯って、お風呂でしっかり温めて、サウナと水風呂で冷やして、最後はリラックスする。あれ、完成度がめちゃくちゃ高い文化だと思う。でも海外で、いきなり巨大スパをつくるのは現実的じゃない。だから、日本人としていままで入ってきた「いい銭湯」の感覚を、そのままコンパクトにあわせていきたいなって。 まほ “施設”というより、“文化”を持っていくみたいな感じなんですかね。
 

世界中に銭湯文化を

親方 そうそう。文化ごと。人って、ちゃんと温めて、ちゃんと冷やすだけで、びっくりするくらい癒やされるんですよ。それを海外でも体験してほしい。最初の出店はオーストラリアのメルボルン。もう決まっていて、現地で会社もつくりました。順調にいけば、来年の6月くらいにはオープンできるかな。その次はバリ島もひかえてる。 まほ メルボルンとバリ!サウナって北欧とか寒い地域のイメージが強いので意外です。 親方 よくいわれます(笑)。向こうでは、倉庫とかガレージみたいな場所、いわゆるウェアハウスを使う予定なんだよ。日本でいう工場跡みたいな、でっかい“かまぼこ倉庫”が街中にゴロゴロあって。そのなかにサウナと温浴をインストールしちゃう。どうなるか、正直楽しみ、おもしろいでしょ。 まほ 想像しただけでワクワクしますね。わたしのほうは、先ほども触れましたが、「SAUNA BABY」(サウナベイビー)という自分のブランドを立ち上げました。名前のとおり、“いいサウナに入って生まれ変わる”という意味を込めていて、赤ちゃんのイラストをコンセプトにしています。いまはトレーナーだけの販売なんですが。 親方 いい名前だね、コンセプトもわかりやすい。 まほ ありがとうございます。新年はもう少しアイテムを増やして、ブランドとして大きくしていきたいなと思っています。それとサウナのことも…、親方のお話を聞いたあとにいうのも恐縮なんですけど(笑)、すぐではないにしても、いつかは自分でサウナのプロデュースにも挑戦してみたい気持ちがあります。 親方 いいじゃない。かなり向いてると思うよ。とにかく、さまざまなサウナに行って、感じて、一所懸命勉強すること。それしかない。 まほ あと、ぜんぜん話は変わるんですが……わたし、11月に結婚を発表しまして。 親方 えっ、アイドルなのに結婚したの!?どうなってんだ(笑)。
 
 
 
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